【京成電鉄博物館動物園駅】
これはすでに廃止となった博物館動物園駅である。当時この駅がどんな駅なのかよく知らなかった。上野駅の写真を撮ったついでに妙なところに妙な名前の地下駅があるということで公園内を歩いてこの駅にたどり着いた。駅らしくない入り口から階段を降りるとそこは異様なまでに不思議な空間であった。ホームを照らす蛍光灯は必要最小限であり、鍾乳洞散策コースかと思うほど暗い。券売機や点字ブロックなどという近代的なものは一切なく、壁はすすだらけ。その上から10円玉か何かでさんざん落書きされて駅は汚れ放題。核戦争後の地下鉄、そんなお題がぴったりくるような駅。ホームは短いため先頭車両ははみ出てしまう。しかしそんなこととは関係なしに扉はガラガラガラーと開いてしまうので、先頭車両に乗っている人はぎょっとする。おまけにこの駅は6時で終了してしまう。あとは歩いて帰れということか。電鉄側にとってのこの駅の存在価値というものがよくわかる。こんな珍妙な駅がひっそりと東京・山手線の内側などに存在したというのだから感動しないわけにはいかないだろう。うわさを知らずに、気が付けばもはや廃止となっていた。もっと撮影しておくべきだったと後悔しきりである。
博物館動物園駅は上野と日暮里の間に存在した駅で昭和8年開業、戦争中は空襲から蒸気機関車を守るためこのトンネル内に避難させていたのだという。ひょっとして壁のすすは当時のものなのだろうか。利用客も少なく上野駅まで歩ける距離ということでついに平成9年4月に再開予定なき休止駅へと移行した。現在この駅はいくつかの蛍光灯が灯っているということもあり車内からも充分ながめることができる。ちなみに、さらに日暮里方面に進むと昭和28年廃止になった寛永寺坂駅(地下駅)という先輩もいる。こちらは照明もなくかなり短いので注意しないと見過ごしてしまう。足場は撤去されているのでホームというより待避所のように見える。
向ヶ丘遊園モノレール
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