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鹿島臨海鉄道
鹿島臨港線(その1)
どこまで続くか工業団地の貨物線
〈'99年調査〉
鹿島臨海鉄道/鹿島臨港線
【コンテナ満載でやってきた機関車】



 鹿島臨海鉄道は昭和45年、鹿島工業地帯の工業製品輸送を目的として北鹿島(現・鹿島サッカースタジアム)駅〜奥野谷浜駅間に建設された。一時期成田空港へのジェット燃料輸送とともに旅客営業まで行なっていたようだ。しかし旅客営業は住民への社交辞令的な付録だったようで、昭和58年パイプライン完成にともない燃料輸送が終了すると、これと同時に旅客輸送まで廃止となった。現在は本数こそ少ないがコンテナ輸送を中心に健闘中である。

鹿島臨海鉄道/鹿島臨港線地図  東京近郊の貨物線を一巡したころ、ながめた地図の中にやけに長い貨物線を見つけた。鹿島臨港線… 現役だろうか。 本当に現存するのだろうか… 多摩から行くにはけっこうな旅になるだろう。しかし、プー太郎である今を逃したら次回はいつになるかわからない… そして苦悩の末、ついに調査は強行されたのであった…


【地図解説】

■黒線−−−−運行線
■赤線−−−−休止線
■赤(点線)−廃止線

■ピンク−−−痕跡すらない廃線、又は立入れず確認不能の線

(休止・廃止は線路状況の目測より推測した。この場合「休止」はまだ使えるが列車通過の痕跡がない線、「廃止」は再開には工事が必要な線とした。立入禁止区域は未調査なので上記以外にも隠れ路線があることも考えられる。また調査は'99年時点のものである)



鹿島臨海鉄道 【神の池ぞいを通過】
鹿島臨港線の大部分は市街地を通過するが今回は工業団地付近の撮影を試みた。まずは工業団地直前の「神の池」付近。公園ではゴルフの練習もでき、ちょっとした憩いの場となっている。列車の速度は50km/h程度と意外と速く、あっという間に通過していった。しかし幹線道路は覆面パトカーが取締りを行なっているため自動車での追跡撮影は細心の注意を必要とする。





鹿島臨海鉄道と工業団地


【工業団地に進入する機関車】
 ここより工業団地である。撮影地点と方角を地図矢印にて示したので参考にされたい。さて、いつ来るとも知れない、来ないかもしれない貨物を待つこと4時間、あきらめかけた4時、突如警報機が静寂を突き破った!車を飛び降りてあわてて撮ったのがこの写真である。



鹿島港南踏切


【鹿島港南踏切】
 1983年までこの路線では旅客営業も行なわれており、「鹿島港南」という駅があったらしい。恐らくこのあたりではないだろうか。鶴見線同様、工場の従業員が通勤に利用したのであろうか。それにしても駅らしいものは見当たらないが…
〈たれこみ情報〉



貨物ターミナル


【貨物ターミナル】
 本線は左側であり、最も右側がひとつめの分岐線である。他の線路は雑草も多く、ひとつ取り残されたタンク車は使用されていないように見える。貨物駅名は不明。お次はこの分岐先に行ってみることにしよう。



貨物ターミナル


【分岐線の踏切】
 タンク車が後進で進入してくる。踏切だというのに踏切一時停止と書かれた「立て看板」のみで、警報機はもちろん、あの黄と黒の踏切警標もない。まるで工場敷地内のような雰囲気であるが立入禁止区域ではなさそうである。ここは公道ではないのだろうか…




工場に進入するタンク車


【工場に進入するタンク車】
 気動車は2両のタンク車をつれて工場に入っていった。これより先は立入禁止なので路線があるか不明であるが、恐らくなにもないであろう。




廃線跡


【撤去されたレール跡】
 街路樹の右側が本線。見づらいが分岐線は斜めに道路を横断し左2本の留置線に合流している。砂利には枕木の痕跡のみが残っており何ともさみしい光景だ。左彼方のレール部分はコンクリート舗装がしてある。コンテナなどの積み降ろしでも行なわれていたのであろう。




運行線の廃止踏切


【運行線の廃止踏切?】
 これは工場の開かずの廃門(?)と廃・守衛室のようだ。不要になった警報機は朽ち、運行区間だというのに遮断機はどちらもバーがもぎ取られている。列車が来たらどうなるのだろうと観察してみたがやはり警報機は鳴ることはなかった。レールは神奈川の新興貨物線などよりつやがある。1日1往復程度といったところか?向かいには工業団地内唯一のコンビニ風よろず屋がある。




2つめの支線を走るコンテナ


【2つめの支線を走るコンテナ】
 多くのコンテナを引き連れて貨物はやってきた。これだけ需要があれば当分存続できそうだ。手動でポイントを切り換えた後、スイッチバックで工場の中へ入っていった。あちらの踏切と違い、こちらには工場内にも警報機がある。貨物は新しいコンテナを連結すると引き返していった。




化学工場へと続く分岐線


【化学工場へと続く分岐線】
 2番目の分岐線はさらに分岐を続け、通りを横断する。線路は草むしているが現役である。閉じた鉄道門の向こうは森になっており、レールはその中へと消えてゆく。




留置されたタンク車


【留置されたタンク車】
 森をぬけた後の路線の詳細はわからないが、ここに続いていると思われる。この日ここに機関車は来なかった。




運休中の本線


【運休中の本線】
 再び本線にもどる。踏切のレールは砂で埋めつくされ、覆いかぶさる雑草も全くすりつぶされていない。延々とのびるレールに列車が来ることはもうないのであろうか。




朽ち果てた踏切と廃線


【朽ち果てた踏切と廃線】
 樹海のような森、ひと気のない一本道、巨人のような鉄塔群… 夕方過ぎるとかなり異様な場所である。レールはとうに埋め立てられ、遮断棒はもぎ取られ、警報機につけられた「使用中止」のプレートさえ朽ち果てている。




最後の踏切


【最後の踏切】 
 最後の分岐の行く手にあるのは石油工場であろうか。こちらの警報機はまだ新しそうだ。しかしレールの雑草はつぶされておらずレールもチョコレート色。運行再開はいつのことか…。




【謎の南伸線】
 今回撮影は行なわなかったものの、興味深い廃線跡を発見した。第2コーナー向かい付近の南に延びるレールである。なにやらわざとらしい緑地帯が続いていたので、雑草をかきわけてみるとレールが顔を出した。このレールはどこへ行くレールだったのだろうか。この先にはもうひとつの工業団地がある。鹿島臨港線の支線なのだろうが横断するであろう大通り付近には全く痕跡がない。謎は深まるばかりである。

【あとがき】
 今回の調査は土曜早朝から日暮れまでの密着取材であった。幸運なことに列車運行の撮影もでき実り多い調査であった。プ−太郎でなければ絶対実現しなかった企画である。カーラジオを聞きながら、まさか来ないかもしれない列車をひと所4時間も待ちつづけるなどという行為はわれながらクレイジー同然であった。調査は1日のみであるから運行の頻度はわからない。恐らく1日1本であろうがひょっとしたら数日に1本かもしれない。平日の運行も不明である。
  できて間もない工業地帯」、これがこの工業団地の第一印象であった。全体的にこぎれいでまだ店もなく、埋め立て地の東側は空き地だらけ… しかしレールを調査していくに従い、なるほどその歴史を実感することとなった。やはり神奈川のものと同様、ピークをすぎた貨物線なのだろうか。次回の訪問は何年後になるだろう。そのころこの貨物線は健在だろうか。



鹿島臨海鉄道
鹿島臨港線(その2)
復活した休止線・消えた南伸線
〈'01年5月調査〉
あれから1年半、予想より早く再調査の機会は訪れた。
今度は骨折休暇での調査である。(^-^;)


化学工場へと続く分岐線


【化学工場へと続く分岐線】
 前回ここに列車は来なかったが、今回ついに警報機が鳴った。森の手前の鉄道門は、関東ではめずらしい自動開閉式である。


新設された化学ターミナル


【新設された化学ターミナル】
 前回休止中だった本線奥はどうなったろう?そう思って途中のレールをのぞいてみると、生きているではないか!踏切の溝もしっかり掃除されている!さらに終端部分にたどり着くとまばゆいばかりの白い敷石、そしてピカピカのタンク車。すばらしい!そう、貨物線最盛期はこれが普通だっのだろう。緑のカバーに隠されているもの、これは「アント」だろうか?


埋め立てられたターミナル?


【埋め立てられたターミナル?】
 前回見過ごしていたが、本線終点近くに駐車場のような広場がある。よく見ると、なにやら怪しげな平行線がたくさん。かつて存在した大型ターミナルだろうか。


消えた南伸線


【消えた南伸線】
 1年半前の調査で見つけた南伸線。写真中央の緑地帯の草むらの中にレールがあった。前回写真を撮らなかったので今度はと思い草むらをかき分けた。しかし30分探しても1時間探しても見つからない!前回はなんとなくのぞいただけで発見できたものがいっこうに出てこない。撤去されたのか?埋もれてしまったのか?いっそ私の勘違いなのか…。ご存知の方ぜひご連絡を!
〈たれこみ情報〉



【あとがき】

当初廃止部分が増えているのではなかろうかと予想していたが、ピカピカになって復活している姿には感動した。調査は再び同じ土曜を選んだ。曜日が同じなら同じ時刻に来るだろうと思ったが、すでに時刻表は変わっていたようだ。泊り込みで張り込んでいると朝っぱら8時半に踏切が鳴った。前回の3時半には来なかった。おニューのレールに列車が来なかったことは残念であったが、前回来なかった自動開閉門での撮影は成果であった。また余談であるが、少し上流の路線の調査も試みた。この地区よりやや北部を見ると私の地図には中部飼料に伸びる路線が載っている。しかしこれはほとんど全く痕跡がなく空振りに終わった。近所の住友金属工場内の専用線も外部からは見えないようだ。



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